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撤退(4/28)

拙宅の近くに、オーガニックを売りにした軽食を出す店が昨年十一月末に開店しました。
森のダイニングという店名で、天然酵母を売りにした生地で作るピザやパスタを売り物にしていたのです。
今日店の前を通りかかったら「閉店します。今まで有難うございます」と張り紙がしてありました。心配していた通りで、半年持たなかったなあ。

店は隣が弁当屋のほっともっと。強大な競合店が隣ですw マンションの一階の半分を占めており、広さはバックヤード含めても70㎡くらい。客席が20席弱。調理場は、外からガラス越しによく見えます。一度入ろうかと思ってましたが「そんなに美味しくない」という評判もあって今まで行きませんでした。

ただ、いつ見てもお客さんが殆ど入っている様子がありませんで、開店当初から先行きを危ぶんでいました。持つだろうか?って。

11月28日開店だったのですが、開店前に周囲の家にPRなどは殆ど無く、一度だけチラシが投函されていたのみでした。開店当初にどれだけ周囲の耳目を集められるかで、食べ物商売は決まると思うのですけど、店主はこのあたり読み誤ったのではないかなあ。
商業地でなく宅地。駅からは遠い。オーガニックだけを売り物にするのはつらいだろうと想像していました。

その店が入る少し前までは、確かそろばん教室だったと思います。スケルトンリフォームして、厨房を作ったり中の構造をすっかり変えていたので、設備一式を用意したのも含めると700~800万程度は改装費がかかっているのではないかな。

木曜日・祝日が定休日で営業時間が11:30~15:00と17:00~21:30という設定。
売り物のオーガニックピザが600円。飲み物が単体で300円、セットで800円程度。夜のセットでも950~1200円といった価格レンジでした。

それで、店舗家賃が一月あたり34万円だと。共益費が高いらしいが全戸が8世帯しかない建物です。水道光熱費が月々三万円はかかるとして40万円弱が毎月出て行きます。
お店のスタッフは、二人は確認できたので人件費に毎月40万は出て行くとするとこれだけで80万弱。これに材料の仕入れだなんだとおそらく月に30万はかかるでしょうから、100万が毎月キャッシュアウトしていくという感じでしょうか。

で、筆者が通りかかるたびに見えていた客が平均で二人。仮に営業時間八時間で30人が来店し、平均単価が800円とおくと24000円。月に25日営業としても500000円にもなりません。
コストは高め、売上は低めに厳しく見積もっていますが、開店に要した初期費用の償却を考えると、閉店は遅すぎたくらいかなあ。

天然酵母だオーガニックだ、とこだわりを持って仕事をするのはいいんですが、あまりにもマーケティングとか考えてない。住宅地では特に、風評=レピュテーション・ビルディングが重要だと思うのだけどそれも腐心している様子が見えませんでした。

最初の一ヶ月やってみてこればまずい、と思ったのだろうけど一度始めてしまった以上、慣性(惰性)の力学がはたらいて引くに引けなくなったのかね。合理的な決断が出来そうでできない。撤退が如何に難しいものか、あらためてよくわかりました。

※写真はこの店の実際の内部です。

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