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完全黙秘の女

2013年04月03日
法坂一広の最新作「弁護士探偵~完全黙秘の女」(宝島社)を読了しました。
<引用開始>
第10回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作家の、シリーズ第2弾です。弁護士の「私」は、新米女性弁護士・土田と一緒に、福岡県警察博多警察署留置所にいた。法テラスから、被疑者国選弁護人選任の依頼があったため、傷害罪で逮捕勾留されている女性に接見に来たのだった。ところが、この女性は当初から完全黙秘を貫いており、「留置番号二〇三号」と呼ばれている。彼女はいったい何を隠しているのか。事件に興味を抱いた「私」は、過去のある事件に注目するが……。現役弁護士が描く、デビュー後第1作!
http://tkj.jp/book/?cd=02041501
<引用終了>
先日読んだ「弁護士探偵~天使の分け前」に続く小説です。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1897372761&owner_id=297101
舞台は福岡。問題行動を起こしてばかりの弁護士が主人公です。悪徳弁護士ということではないが、一言多いために懲戒や懲罰を食らいがちです。世を拗ねたような減らず口を叩くので、権威や権力を持っている人からとにかく嫌われる。

「天使の分け前」でこのミス大賞を受賞したが、今回の作品のほうが出来がいいと感じる。

原因のひとつは文章。前回のいろんな薀蓄や減らず口は、読者にときとして不快な感情を催させるものもありましたが、今回は抑制が効いていて文章のよいスパイスとなっていると思いました。選考委員から釘をさされたのでしょう。

物語の構造もよい。ある冤罪と犯罪が隠されていて、徐々に紐解かれる感じがよいです。
キャラクターの書き分けもさらに飛躍した。前回は警察官を極めて粗暴で単純な権威主義者として表しましたが、今回はその上のキャリア官僚や、弁護士会の幹部などのキャラクターがよく描かれています。

私たちの知らない弁護士の活動もよく描かれています。“即独”といわれる法科大学院出身で即開業せざるを得ない司法試験合格者の実情とか、国選弁護の薄給と多忙ぶりなど等。

物語の白眉は終盤に訪れる法廷での原告側からの尋問場面。ここは読み応えがあります。

これはこのままシリーズにしてくれればいいなと思います。
ご一読をお勧めします。

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