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技能実習制度

2013年03月15日
ニュースを見た瞬間、去年の始めに見たNHK「鶴瓶の家族に乾杯」を思い出しました。
<引用開始>
広島・江田島市8人殺傷 職場の人間関係に不満を持ち犯行か

広島・江田島市のカキの加工工場で社長など8人が死傷した事件で、現行犯逮捕された中国人研修生の男は、職場の人間関係に不満を持って犯行に及んだものとみられている。
14日夕方、江田島市江田島町の「川口水産」で、中国人研修生・陳双喜容疑者(30)が、刃物やスコップで社長などに襲いかかり、社長の川口信行さん(55)と、従業員の橋下政子さん(68)が死亡した。
ほかの従業員6人も頭などにけがをしていて、このうち1人が重傷となっている。
陳容疑者は、駆けつけた警察官に現行犯逮捕されたが、事件後、自らの胸を刺していて、病院に入院し、治療のため釈放された。
同業者の話では、川口さんは仕事に厳しく、陳容疑者が職場の人間関係に不満を持っていた可能性もあるという。
容疑者を知る人は、「初めての仕事だし、言葉もわからないし。何か不満があったみたいだけどね。普通の子だったと思うよ」と話した。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20130315-00000238-fnn-soci
<引用終了>
「家族に乾杯」は笑福亭鶴瓶が毎回出るゲストとともに日本各地を訪れるという番組です。
思い出した放送は、松山ケンイチがゲストで行った先が広島県の宮島でした。
松山は「平清盛」宣伝のからみでブッキングされてました。宮島のうち、厳島神社の裏側にあるカキ加工場を訪ねています。水揚げされたカキを、作業員十人ほどが座り込んで、黙々と貝の身を殻から外すいわゆるカキ打ちをやっていました。
事件の一報を聞き、もしかしてあの加工場だったかと悪い想像が頭に浮かぶ。現場は江田島と聞いて別の場所だと気づく。カキ打ち加工場は県内に無数にあったのだった。

短い鳶口のような刃物で、殻から上手に傷つけずに身を剥がしていくので単純ではあってもコツと熟練が要る様で、番組では松山が挑戦して長い時間をかけてカキ打ちを試みてました。そのときの作業員の殆どが中国人と紹介されていた。言葉がわからないということがあったかもしれないが、カメラを向けられても彼らに殆ど笑顔もなかったことを覚えています。これ「外国人技能実習制度」だ、とピンときました。

三年間の年限で、主に発展途上国から日本の製造現場での技能・技術を学ばせるという制度。これは製造現場に携わることによってOJTで技能・技術を学ばせて、将来母国での指導的立場に立ってもらおうという目的が表向きあります。
しかしその作業内容や作業時間、賃金については実質、経営者の裁量に委ねられるところが大きい。実質は単純重労働でも、研修という美名でなんでもできてしまう。そして実習生として来日する人たちの目的も、技能・技術習得以外に、働いて金を貯めておきたいということがあるでしょう。
両者の利害一致が、哀しい形でここに結実する。

安田浩一に「差別と貧困の外国人労働者」(光文社新書)をいう優れたルポがあります。技能研修制度の問題はここに詳しく書かれています。
<引用開始>
日本経済にとって、外国人労働者は都合の良い存在であり続けた。企業の繁栄を支え、あるいは不況企業の延命に力を貸してきた。しかし日本は、その外国人を社会の一員として明確に認識したことがあっただろうか。
第1部では、「奴隷労働」とも揶揄されることも多い、「外国人研修・技能実習制度」を使って日本に渡ってきた中国人の過酷な労働状況を概観する。
第2部では、かつて移民としてブラジルへ渡った日本人の主に子どもや孫たちが、日本で「デカセギ労働者」として味わう生活と苦労、闘う姿を追う。
こうした中国人研修生・実習生と日系ブラジル人を中心に、彼ら・彼女らの心の痛みを描きながら、日本社会をも鋭く映す、渾身のルポルタージュ。
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334035686
<引用終了>

さらに一冊。「『研修生』という名の奴隷労働」(花伝社)も良書です。
http://www1a.biglobe.ne.jp/index/books/wadai/200902kenshusei.html
機会があれば是非ご一読を。

「技能研修制度」自体はかなり以前から行なわれています。私も、以前勤めていた会社に出入りする人間がこれに関わっていたのを目撃しました。

その場合は、美容師の実習生でミクロネシア一帯から広く来日させていました。美容師の技能と資格なりを取らせる代わりに、低賃金で各地の美容室で働かせるというもの。「日本ミクロネシア友好協会」といういかにもいかがわしい名称の団体を、十条にあった美容室の二階に設けて活動してました。

美容師見習いは大半が女性。なかには経営者が手をつけて、妊娠させてしまい、手切れ金に五万円払ってそのまま帰国させたという酷い話もありました。
「向こうなら五万円は大金だよ。かえって向こうも感謝しているんだから、あまり気にすることないですよ」なんて、携帯で話している声が聞こえてきたこともあります。そのとき初めて、下衆という種類の人間を生でみた。
同じ業界にいることが本当に恥ずかしい。

五万円もらって彼女は感謝するだろうか?深い恨みを持ったまま帰国するだけじゃないか。

騙して連れてきてタコ部屋まがいに入れて、一体何が持続的成長だよ、と思います。

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