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ネット右翼の矛盾

2013年03月12日
安田浩一・山本一郎・中川淳一郎の「ネット右翼の矛盾」(宝島社新書)を読了しました。
<引用開始>
お前ら、国をどうしたいんだ!
反韓、反マスコミ、反エリート……
何でも「反対」ばかり!

潜在人口120万人!
「被害者意識」が
生み出した矛盾だらけの人々

インターネット上で過激な発言をし、ついにはフジテレビや提供スポンサー企業に対してデモを行い、現実世界でも影響を持ち始めている「ネット右翼」。反韓、反マスコミ、反エリート…彼らの論調は、一見、非常に論理的な意見に見えますが、実は矛盾に満ちています。ネット右翼はどんな年齢層が中心で、どんな生活を送ってきたことで、そのような考え方をするようになったのか。ネット右翼の「論理の矛盾」を具体的に挙げながら、彼らのホンネがどこにあるかを、ネットジャーナリズムの旗手3人が分析、明快に解き明かします。
http://tkj.jp/book/?cd=02047001
<引用終了>
「在日特権を許さない市民の会」。通称“在特会”をご存知でしょうか。
在日韓国・朝鮮人が日本で如何に利益を不当に得ているか、ということを訴える組織です。
新大久保や大阪の鶴橋に出かけていって、いわゆるコリアンタウンをデモし『良い韓国人も悪い韓国人も殺せ』などと物騒なカンバンを持って騒ぐ人たちです。あるいは韓流ドラマを流しすぎだ、とフジテレビ前をデモしたりする。
一見すると民族派、いわゆる右翼の主張なのかと思いがちですがかなり違う。良い韓国人も悪い韓国人も殺せ、とはさすがに伝統的な右翼は言わない。とにかく韓国・朝鮮を嫌悪して止まない人たちが少し目立っています。
その実像は、今の社会と上手く関係を取り結ぶことが出来ない、少し不器用な人たちです。

在特会や外国人研修生について優れたレポートを著した安田浩一の近刊ということで関心があり手に取りました。一読して思い当たったことがあります。

このネット右翼という人種。自分の知り合いで当てはまるやつがいる、と。
どちらかといえば大人しく、積極的に人や仕事や学校に関わっていこうとはしないタイプ。でも、根はおそらくは善良。要領のよくない人というのか、そんな人たちがこの陥穽に嵌るのではないかと感じました。

私と同い年の知り合いは、高校を四年、大学を七年かけて卒業しました。
しかも高校と大学の間には四年間ものブランクがある。中学時代に激しい虐めに遭い、高校は進学校に進んだものの、周囲と上手く馴染めずに孤立。古文で赤点を喰らい留年して、結局は定時制に転校して卒業。その後の大学進学も年齢差ある学友たちと溶け込めずに、毎年のように留年を繰り返しました。

普通ならそこで退学したり、就職するなりして転機を考えるものですが実家が裕福でしかも見栄っ張りだった。そのことが幸い(災い?)してか27歳で大学卒業した後も数年間は本当に何もしないで過ごし続けました。

私はそんな彼とも気が合って、小学生からずっと付き合いがありました。しかし数年前に話していた際、彼の口から出た言葉で、関係が変わりました。

『お前、外国人参政権どう思う?』『韓国に乗っ取られると思う』『日本、悪い悪いって自虐するこたねえよな?』『在日ってたかってばかりだよな、だろ?』などと突然話し出したのです。

サムソンから社内留学生を迎えたり、仕事上で韓国人と付き合いもあった私はつい真面目に反論してしまいました。『その情報は確かめたのか?』『韓国にいったことあるのか?』『韓国人に知り合いいるのか?』。

理路整然と聞いたつもりでしたが、これが彼には面白くなかったみたい。プライドを汚されたとでも感じたのでしょうか。興奮して猛然と長々と何やら話し出しました。いわく『お前はわかっていない』『騙されている』『嫌韓流に書いてあった』『SAPIOに載ってた』云々。そんなの知るかよ!

ちょうど電車に乗ったところで中央林間から渋谷までの間、延々とその韓国の陰謀なるものを隣でまくし立てられたのでした。

『そんなくだらないこといってないで、いい加減に真面目に働けよ!』
しつこいので、ついそう言ってしまった。とたんに顔色を変えて口を噤んだ彼。刺さったか?
以後は押し黙ったまま、渋谷で降車した。そこから今日まで連絡がありません。

きっと辛い現実を、認めたくなかったんですね。同意して欲しかった、いや、ただ話を聞いてもらいたかったんだな。寂しかったんだ。

不器用な彼。口角泡を飛ばしながら、こちらの30センチ手前まで顔を近づけて唾飛ばしながら、支離滅裂な自説を電車内で説く男。周囲から奇異な目で見られることにも気づかない。本来は心優しい人間なんだけど、そのことを周囲に分かってもらえない。今はどうしているだろうか。新大久保なんか行かないでくれよ。

ネット右翼の行動は、大概ははた迷惑なものです。本書ではそこをよく書いていますが、著者たちはそれでも見放そうとはしない。どこかで救えないかと考えています。お互いの本来の優しさが、交差するときってないものだろうか?そんなことを考えました。
ご一読をお勧めします。

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