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沈黙の町で

2013年03月19日
奥田英朗著「沈黙の町で」(朝日新聞出版刊)を読了しました。
<引用開始>
中学2年の男子生徒が部室棟の屋上から転落し死亡した。事故? 自殺? それとも他殺なのか……? やがて生徒がいじめを受けていたことが明らかになり、小さな町に波紋がひろがり始める。朝日新聞朝刊連載時から大反響の問題作、ついに単行本化。
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=14631&PHPSESSID=i4e9gcngr2mq450o2ori84atk5
<引用終了>
500ページを越える長編。二日で一気に読みきってしまいました。ミステリーか?と思いながら読み進みますがどうも違う。もっと原初的な問題で、私達自身がかって通り過ぎてきた道ではないかと思いました。

東京からちょっと離れた北関東の地方都市。地元の中学二年生が、転落死してしまうところから物語は始まります。同級生、教師、校長、家族に刑事、はては検察官までが登場してそれぞれの場面があります。
「邪魔」「最悪」「無理」といった奥田作品を読んだ人にはお馴染みの、群像劇ですね。

奥田英朗は同世代だから、書きたいこととか言いたいことがとてもよくわかります。読んでいてはた、と膝を打つ感じですね。叩きすぎて膝頭が真っ赤。
中学を舞台にした「虐め」の問題についても、いままさに自分が経験しているかのようなリアリティです。もう40年も前の話の筈なのに、読んでいて甘酸っぱいというか不思議な感覚に囚われました。「自分もそうだった」って。いや、INGか。いまでもそうです。これが中二病か?

そう、そうなんですよね。振り返ればなんて愚かだったんだろうと思うような気恥ずかしいことばかり、やってきたように思う。自意識過剰で口が達者で、でも視野が狭くてやっぱり未熟。そしてとびきり残酷だったりもします。夜中に寝床でそれ思い出して、大声出したくなる気恥ずかしさといいますかね。

作品中、事故死する中学生の生前の言動を読んでいると、あの当時の似たような同級生たちの顔がぼんやり浮かんできます。同級生あるある、というやつか。そうして思う。『虐められる側にもいくらかの責任がある』と。なんていうかな、場の空気を読めないで自分から、不幸をピックアップする。火中の栗を拾う真似をするんですね。
余計な一言を発したせいで、さらに過酷な運命を呼び寄せるという。

当時の私は幸か不幸か、生徒会なんかやらされていたので、虐める側、される側の双方に入らないで済みました。しかし、学校側に立ったと目されて、体制の犬呼ばわりですよ。生徒会は独立した自主組織なのにね。内申書に特記事項で書かれるから、受験に有利になるなんて噂の末のやっかみでした。
一学年が9クラスもあり、同級生だけでも400人近かったのでいろんなのがいました。閉鎖されていますが、それだけいると社会の縮図ですね。あらゆる理不尽や因習と対峙しなければならない。そのことを思い起こさせました。
文句なく面白い。ご一読をお勧めします。

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