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出版・新聞絶望未来

2013年03月10日
山田順の「出版・新聞絶望未来」(東洋経済社刊)を読了しました。
<引用開始>
本書では俗に「4マス」と呼ばれる既存の4大マスメディア(出版、新聞、テレビ、ラジオ)のうちの出版、新聞というプリントメディアを中心に論じ、とくに電子書籍には紙幅を割きました。現在、多くの出版社、新聞社が経営危機に見舞われ、その影響でジャーナリズム、コンテンツの質が落ちるという悪循環が起こっています。
いったい、この先、プリントメディアはどうなってしまうのか? その答を私なりに追い求めてみました。以下が、その目次です。

第1章 いつまでたっても電子書籍元年

第2章 電子出版の超えられない壁

第3章 電子書籍は紙のライバルか?

第4章 止まらない出版不況 

第5章 クールジャパンの終焉

第6章 苦悩する新聞、苦悩するジャーナリズム

第7章 もっとも衰退している産業

第8章 課金モデルは成功するのか?

第9章 デジタル化は不況を招く

http://www.junpay.sakura.ne.jp/index.php?option=com_content&view=article&id=1082:news-111&catid=27:2008-12-26-11-25-27&Itemid=29
<引用終了>
山田順は元光文社の編集者。二年前に「出版大崩壊」(文春新書)を著していますが本書はその続編ととらえてよいでしょう。
前回日記:http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1706083880&owner_id=297101

内容は前作同様、出版・新聞の“デジタル化”についての行方を論考したもので、日本版kindleが正式に出た現在以降の電子出版・電子書籍の近未来について論じています。

一読してその通りだと実感するところが大きい。大筋のところで著者の主張されんとするところを理解し共感するものです。
つまり紙の書籍・新聞の衰退は止まらないし、それらの電子版は正しい意味での代替品とはなりえないという現状認識です。
(私も似た仕事をしていたので、この思いは大きく頷けるものでした)

と同時に新聞人や出版人の抱きがちなある種の幻想にも鋭く切り込んでいます。それは、自社の抱えるコンテンツをひとかどの資産と見なす姿勢です。
優れたコンテンツやメッセージは世の中に大きな影響を与えますが、それを
まるまる自社の財産や価値と認識している人が多い。勿論、そういう自負と気概を持つことは仕事をするうえで重要ですが、実態は殆どの場合ありません。
失礼ながら、一種の錯覚なんじゃないかと思います。その錯覚が事態をより悲惨なものとしているのではないかって。

何故なら出版物の著作権の場合、著者自身が保有しており、出版社は出版権を著作者から許諾されているだけだからです。新聞の場合は著作物の権利を自社が持つこともありましょうが、情報そのものにパテントをつけることなど無論できません。

企業価値という尺度で見れば、出版・新聞社では何が出色な価値でしょうか。出版社の場合、売れている本のせいぜい出版権くらい。新聞社は、全国拠点と流通網くらいではないかなと愚考するものです。

実際に朝日新聞社の経営は、関西に多く保有する不動産収入での利益に負っています。(TBSも赤坂サカスなどの不動産と商業施設からの収入がその経営を支えています)
事態は想像以上に進行しています。どちらかといえば悪い方向にと。

250P程度なのであっという間に読めます。
印象的だったのが、結びのところで引用されるスティーブ・ジョブスのあの有名な言葉「Stay foolish, Stay Hungry.」の本来の意味。これ、誰に対してどのような意味で発せられたものであったか?
巷間伝えられる、若者への激励というシンプルさとは違う解釈を提示して、本書を結んでいます。ここだけでも興味深い。

ご一読をお勧めします。

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