« 富の偏在 | トップページ | 失火法 »

まだ「ファイナンス理論」を使いますか?

2013年06月02日
手島直樹著「まだ『ファイナンス理論』を使いますか?」(日本経済新聞出版社)を読了です。
<引用開始>
なぜ「ファイナンス理論」は企業価値を創造しないのか?事業会社での実務経験から学んだ理論と現実のギャップをもとに、日本(企業)にある「MBA信奉」の危険性と、あるべき「企業価値向上経営」の本質を説く。
http://www.nikkeibook.com/book_detail/31829/
<引用終了>
サブタイトルが「MBA依存症が企業価値を壊す。これに惹かれて読むことにしました。

はじめに ファイナンスは経営の“余事”にすぎない
序 章 “ファイナンスの悲劇”を繰り返す日本企業
第1章 ファイナンス企業価値を創造しない
第2章 実務経験から学んだ理論と現実のギャップ
第3章 短期主義で企業価値を破壊する上場企業
第4章 上場企業が実践すべきファイナンス10のポイント
第5章 かつての日本企業こそがめざすべきベンチマークである
第6章 IPOをめざすベンチャー経営者へ

ファイナンスとは何のことか?イメージがつかない人もいらっしゃると思います。
一般的にファイナンスとは財政という意味ですが、ここではコーポレートファイナンスを指しています。
簡単にいえば「企業の価値」を計ったり、上げたりすることをそう呼びます。
もっと簡単に言えば、企業活動の本業以外で、より少ないコストでより高いリターンを得ましょうということです。

そのひとつは具体的には株価だったりします。株価というのは、その企業に対するある側面からみた、ある時点での評価と考えればよいでしょう。
そのことを軽んじろとはいいませんが、そんなに金科玉条のごとく重視しないでもいいではないですか、というのがこの本の主旨です。
私もその意見には基本的に賛成です。

現在の企業は四半期ベースでの活動実績で、基本的な株価が算定されています。こうした考え方が、本来息の長いはずである企業活動を短期偏重の刹那的活動に追い詰めていないかというのが著者の考えです。

また、企業の業績予想開示、ある期間にこれだけの実績を出しますよという予めのアナウンスを多くの企業が出します。その予測と結果に基づいてアナリストだの証券会社だのが、その企業の株価をあれこれ予想するわけですがこのレポートにあまり振り回されることは意味がないんじゃないか、そんなヒマがあったら本業で地道に稼ぐほうに充てるべきだとも提言しています。
これもその通りだろうと思いました。

むしろ、短期で変動がある株価を積極的に「無視」し、本業にまい進することが結果的には企業の価値を押し上げることになるよ、と結んでいます。
またまたこれもその通りだろうなと思います。

「会社は株主のもの」という考え方が強くなってきているようですが、それにあまり引きずられるなとも言ってます。「株主」たる資格者は実は減っており、増えているのは単なる「株券所有者」である事実をよくみようということ。これも、いちいちもっともだなと思いました。

たまに小難しい本を読んでおくと頭が良くなったような錯覚もあります。
お暇ならご一読を。

« 富の偏在 | トップページ | 失火法 »

2021年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
無料ブログはココログ