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国際教養大学

2013年06月13日
秋田県に国際教養大学という公立大学があります。講義・ゼミなどの殆どを英語で行い、一年間の留学を必須としている変り種です。グローバル化対応ということで耳目を集め、卒業生は有名企業から引く手あまたといわれてます。
<引用開始>
企業からは「使いにくい」の声も……。“エリート養成校”国際教養大学の問題点

就職難が続くなか、全国から注目を集めている国際教養大学。英語教育の過酷さは折り紙つきだが……?
就職率ほぼ100%を誇る、秋田県の国際教養大学(AIU)。卒業生の就職先には有名企業がズラリと並び、就職難が続く今、全国から注目を集めている。そんな驚異の大学だけに、在校生たちの学生生活もちょっと普通とは違うようだ。

AIUでは1年次から「英語集中プログラム(EAP)」というカリキュラムが存在し、このプログラムを修了しない限り進級できないという厳しいルールが存在する。また、日本人学生も留学生も、初年度は全員、大学の敷地内にある「こまち寮」で生活することが義務づけられており、約7.5畳の狭い部屋に原則ふたりで入居しなければならない。さらに、その多くは日本人と外国人留学生の相部屋になるという。

ハードルが高すぎるような気もするが、学生たちからは、さほど不満の声は聞こえてこない。

「共同生活は学ぶことが多い。同居人とは入居の際にルールづくりをして、掃除当番とかトイレットペーパー補充の順序とか、トラブルの種になりそうなことを明文化しておく。進級したら、やはり敷地内にある学生用のアパートに引っ越すんですが、ここも基本は相部屋。ほとんどの学生は留学の時期を除いて、ずっと学内で暮らすことになるんです。ですから、ここでは勉強だけでなく人とのコミュニケーション能力も磨ける」(関東地方出身・3年生男子)

AIUでは卒業までに、1年間の海外留学も義務付けられている。加えて、こうした外国人留学生との“草の根交流”によって、グローバルに活躍するために必須のコミュニケーション能力が鍛えられるというわけだ。

しかも、大学があるのは秋田の山間部。遊ぶ場所も限られ、女子学生と合コンや性愛にふけることもない。必須となっている海外留学も成績順で留学先の希望が通るため、みんな人一倍、勉学に励む。勉強中心の学生生活を送るAIUの学生たちが、企業の目に理想の人材と映るのも道理だ。

しかし、人材コンサルタントの常見陽平氏は、こう疑問を投げかける。

「大学側のカリキュラムは魅力的ですけど、就職率や偏差値だけが強調されて伝えられるのはなぜか。中身は本当にそれ相応なのでしょうか。例えば、『教養教育』と言いながら、英語での授業にこだわるあまり、授業内容で教養を深められていないという声もある。グローバルな人材って、英語だけじゃないでしょう。これだけ勉強させて、研究者が生まれないのも謎です。あと、気になるのはやはり都市との距離。東大のトップ層の学生がいまだに優れていると評価される理由は、常に企業や社会人との接点があるから。要は、社会に揉まれて成長するのです。AIUの学生は、そこが心配。実際に企業側からは『使いづらい』という手厳しい評価もある」

この春に4年間勤めていた企業を退職したというある卒業生は、「自分のほかにも日本企業の古い体質と合わずに会社を辞めた人間は少なくないし、みんなが英語を生かせる仕事をできているわけではない」と漏らす。学生時代にムチを打ち続けてきた弊害か、大学に戻りたいと口にするOBも多いとか……。

AIUでの学生生活が、一般的な日本の大学生のそれとは異なることは確かだ。だが、まだ創立9年のAIUは、社会に人材を輩出して5年にすぎない。企業側のAIUの学生に寄せる期待はさておき、彼らが社会に出て本当に使えるのかどうかは、今後の卒業生たちの活躍ぶりが教えてくれることだろう。
http://wpb.shueisha.co.jp/2013/06/12/19752/
<引用終了>
秋田市というとたしか海に面していた筈。大学は空港の近くというからそっちかなと調べてみたら、かなり山奥にあるんですね。雄物川の河口沿いにあった空港は移転していて大学の近くにある。移転した空港の近くにこの大学が立地されたということなのでしょう。外に開いていくというグローバル化を見越して。(土地が安いからかもしれないが)

この学校、前から気になってはいましたが今回の記事と常見陽平のコメントを見ていて思いついたことがあります。

これ、第二の筑波大学を作りたかったんじゃないのか?そう思ったのです。

筑波大学は、私が高校生だった頃に開学しました。前身は東京教育大学。昔の師範学校ですね。ここを改組して豊島区大塚から茨城県にキャンパスを移転させた。つくばは、市にもなってなかったんじゃないかな。

これまた辺鄙なところに作ったなと思いました。今のつくばエクスプレスなど影も形もなく、常磐線で荒川沖あたりからバスかタクシーで通うというスタイル。
大学では、学生寮を完備して勉学に勤しめる環境づくりに熱心でした。たしか学生結婚用に、夫婦専用の寮まで設けていた筈です。
至れり尽くせりなのですが、別の一面もこの大学にはあった。
学生による自治を認めない。自治会は作らせない。各種のサークル活動は届出と許可が必要。学生集会のようなイベントはキャンパス内で禁止する。世に言う管理教育の先駆けともなったのです。
都会から距離があることで、そうしたことを可能にしようと企んだところもある。

当時は「東のつくば、西の京産」などと呼ばれましたっけね。

前身の教育大が学生運動で「荒れた」ことを反省して、新しい大学では徹底的に管理しようという思惑が大学当局側に見られましたね。

学長だった福田信之は、ゴリゴリの反共として有名。サンケイの「正論」などに毎回記事を書いていたいわば〝札付き”でした。勝田吉太郎、香山健一、西義之、黛敏郎等とともに。そういえばサンケイ自体が財界の意向を受けて出来たメディアです。
そして国際教養大学の前学長だった中嶋嶺雄の名前もその中にありました。
今年亡くなりましたが、反共で中国に対して懐疑的な視点を持ち続けた人でしたね。

学生運動こそ殆ど無くなってしまったが、辺鄙な立地、グローバル化、管理教育といった性質はそのまま筑波大学が持っていたものでした。
権利を求めて闘争する学生ではなく、利益を求めて止まない企業戦士を作り出そうという一部からの期待に応えようというわけかな。

社会との接点や揉みあいは絶対に必要ですよね。インターンといった形式だけではなく。
純粋培養の危険性について、この大学はこれから私たちに教えてくれるかもしれません。

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