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ノマドと社畜

2013年04月29日
谷本真由美著「ノマドと社畜~ポスト3.11の働き方を真剣に考える」(朝日出版)を読了。
<引用開始>
■「紙版希望! 」の多くの声に応えての刊行!
発売後いきなりアマゾンKindleストアで1位になり、話題になった電子版に大幅加筆、新章「社畜とは何か?」などを収録!
国連職員などとして数カ国で働いてきた著者(現ロンドン在住)が、日本で流行るノマド論のおかしさを一刀両断。組織に寄りかからず自立した働き方が必要となる日本の未来を担う人たちのために、本当に有益なアドバイスを贈る。
http://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255007052/
<引用終了>
著者はツィッターでハンドルネーム“@May_Roma”を名乗る有名な人です。私はROM専門でツィッターをしていますが、時々過激な意見をいうこのHNをなんだろうと訝しく見ていました。

ついで、八重洲ブックセンターで「日本が世界一『貧しい』国である件について」というこの人の著書を見かけて興味が湧き、まず取っ掛かりになりそうなものを読んでみようと思い、これを手に取りました。

ノマドというと、たとえば本田直之とか安藤美冬といった人が浮かびます。実績のある本田直之ならともかく、安藤美冬に関しては胡散臭い感じが漂いました。
オフィスや場所を選ばないノマドという生き方を謳いながらも『デザイナーなのに住所が足立区で残念』などといささか矛盾した言動があり、自身の商売動機でノマドを定義づけしているなと思ったからです。

谷本真由美は、こういう人に対して容赦なく叩きます。それは、若い人に騙されて欲しくないから。ノマドを目指すなら目指すで、できれば成功して欲しいからといった思いがよく伝わってきます。

読み始めてわかりましたが、これは起業やノマドを目指す若い人に向けて書かれているんだということ。それでも、私のような人間でも興味深く読むことができました。まがい物がどれだけ跋扈しているかがよくわかります。

自由を享受しながら、好きなことをして報酬を得続けるのがノマド。日本ではそんなイメージでいる人が多いだろうと、著者はまず想定しています。
次に、実際にノマド的な働き方をしている人を何人か紹介してきますが、これが恐ろしいくらいのハイキャリアな人ばかり。
高度な学歴を持ち、高いレベルで実務に携わり、語学に堪能な人材が何人も紹介されます。
フリーターの延長から成れそうな日本での甘い予想を大きく裏切ります。

彼ら自身とその周囲からは、一種の職人としての佇まいすらイメージされてきます。
つまり、仕事能力だけで見れば、仮に一般の企業に勤めていても高い実績を示すことができるだろう人々が「ノマド」なのですね。
若い人たちが単に「なりたい」「あこがれる」といった次元で成立できる世界ではないのだという事実を冷静に突きつけているわけです。

そして、何故ノマドが出現し、重宝される社会が海外にあるのかも解説されています。ノマドが激烈な競争社会ゆえの産物であることがよくわかる。

それでも、著者の視点はどこかに温かみがある。周囲の甘言や雑音に惑わされることなく、ノマドを目指すなら目指すなりの要点をしっかり押さえろと忠告もしています。
その三つとは、自分だけの高い技術を磨け、その道のプロの話をよく聞け、語学力を磨け。

私たちの世代からすれば当然のような結論なのだけれど、あらためてよく納得できます。
ご一読をお勧めします。

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