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その峰の彼方 2014年02月15日

笹本稜平著「その峰の彼方」(文芸春秋刊)を読了しました。
<引用開始>
警察小説、冒険小説の世界で確固たる地位を築き、『還るべき場所』『未踏峰』『春を背負って』など、山を舞台にした力作でも知られる笹本稜平さん。本作は北米大陸最高峰・マッキンリーが舞台の本格山岳小説です。最高の技術と精神力を持ちながら、ただ純粋に山と対峙することを願い、日本の登山界と距離を置く孤高のクライマー・津田悟は、ヒマラヤよりもマッキンリーを愛し、最難関である厳冬の未踏ルートに単身挑み、消息を絶ちます。愛する妻は子供を身ごもり、アラスカを舞台にした大きなビジネスプランも進行中。なのになぜ今、彼はこのような無謀なチャレンジを行ったのか。大学時代の友人・吉沢をはじめとして結成された捜索隊は、壮絶な山行ののち、脱ぎ捨てられた上着や手袋を見つけてしまう。津田にいったい何が起きているのか? 極限状態の向こう側にたどりついた人間は、自らの生と死と、どのように折り合いをつけるのか。感動のドラマが待ち受けています。
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163900025
<引用終了>
『天空の回廊』でエベレスト、『還るべき場所』でK2を採りあげた笹本稜平が次の舞台に用意したのがマッキンリー。山岳小説が大好きなのでこれは楽しみでした。

マッキンリー(デナリ)は、北米大陸最高峰。標高6194メートルもあります。
なんだ、エベレストをはじめとしたヒマラヤにはもっと高い山が沢山あるじゃないか。現在標高8000メートル以上の山は14座。7000メートルクラスの山がさらにあって、南米のアコンカグアは6900メートル。マッキンリーはそれよりも標高は低い。しかし、登頂するのはヒマラヤ並みに難しいといわれます。

山の高さは通常、標高で表されます。海面を0メートルとしてそこからの高さを表した数値。
これに対して比高という尺度があります。比高とは、何か?山の麓から山頂までの高さを表しています。海面からではない。
比高で、エベレストの高さを測るとおよそ3700メートル。エベレストの麓で海面から5000メートル以上あるのです。3776メートルの富士山の高さと、そう変わらないことになります。
これに対して、マッキンリーの比高はおよそ5700メートル。山の麓で600メートルの高さです。
つまり比高で測ると、世界一高い山になるのがマッキンリーとなります。
さらに、その位置が問題になる。高緯度に位置し、気圧が低いので天気がよくないことが多い。北極からも近いので非常に寒冷な地域です。しかも連峰ではない独立峰だから風が強い。
これに対してヒマラヤは緯度でいうと、沖縄と同じくらいの位置の連峰。環境で差があります。
地球上で最も厳しく危険な山はマッキンリーではないかと思います。

『人は何故山に登るのか?』。幾度となく問われたこの言葉には、明快な答えがありません。
『そこに山があるから』というマロリーの有名な言葉が残っていますが、これもわかったようなわからないような。禅問答のような隘路にはまってしまいます。
本作は、この問いに対して出来るだけ誠実に応えようとしているように感じられました。結末は必ずしもハッピーとは言えないが、明るい未来を期待させる終わり方だったと思います。
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/3563

500P弱のボリュームですが、読み終わるのが惜しくなりました。登場人物のその後を知りたい。
ご一読をお勧めします。

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